こんにちは、ゆたかみわーくです。
ゴッ!ボトッ!
2026年7月10日、事件が起こりました。
フックに吊るしていたバナナが熟れていて、房から1本のバナナが落ちてしまったのです。

その時、ご飯を盛ったお茶碗をその下にたまたま置いていたため、バナナがお茶碗に直撃。そのままおちゃわんが床に落ちてしまいました。
お茶碗は2つに割れてしまいました。

特段高級なお茶碗ではありませんが、京都の五条坂で開催されている陶器市で購入したもので、かれこれ10年以上使っている愛着のある品でした。

「この割れ方なら、比較的直すのも簡単なのではないか…」
そう思い、金継ぎにチャレンジして直してみることにしました。
結果、僕の初めての金継ぎは一応完了しました。
蘇ったお茶碗に一層愛着が湧きましたが、完成品はイメージしていた仕上がりとは違うものでした。
この記事では実体験をとおしてわかった、金継ぎにチャレンジする前に知ってもらいたいポイントを紹介します。
簡易金継ぎと伝統の金継ぎ
金継を始めようと楽天市場などでキットを調べると、大きく分けて次の2つの方法があることが分かります。
- 簡易金継ぎ(モダン金継ぎ)※:エポキシ接着剤や合成漆を使い、数時間〜数日で手軽に直せるもの
- 伝統の金継ぎ:本漆(ほんうるし)と自然由来の材料を使い、時間をかけて直すもの
※簡易金継ぎと表記していますが、本格派の方の中には「これは金継ぎではない」とおっしゃる方もおられるものです。
それぞれのメリット・デメリットを表にすると次のとおりです
| 種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 簡易金継ぎ | ・簡単 ・作業が早い ・キット代が安い | 劣化や安全性(食器としての使用)への不安が残る |
| 伝統の金継ぎ | ・信頼のある伝統技法 ・満足感 | ・作業工程が多く難易度が高い ・時間がかかる ・キットの値段が高価 |
「チャレンジするなら本物やってみたい」と思い、僕はハードルの高い「伝統の金継ぎ」を選択しました。

……が、伝統の金継ぎは想像していた以上に工程が多く、乾燥を含めると途方もない時間がかかるものでした。
加えて、マニュアルを読んでも「これが正解なのか?」が判断しづらく、キットが届いてから手を動かし始めるまでの腰がかなり重かったです😅
「早く直してまた使いたいのに、こんなに難しくて時間もかかるのかぁ〜〜〜!!」と、一瞬違うキット買い直そうかと考えたほどです。
伝統の金継ぎに挑む際は、「完成までに1,2ヶ月かかるもの」だと考えてください。
漆に蒔く金属粉
金継ぎで漆の上に蒔く粉は、実は金だけとは限りません。
定番の金粉以外にも、以下のような金属粉が使われます。
- 真鍮(しんちゅう)
- 銀
- プラチナ
- 錫(すず)
さらには金属粉を使わず漆塗りだけで仕上げたり、顔料を使った青い仕上げなどもあります。もはや金ではないため、「銀継ぎ」「錫継ぎ」「プラチナ継ぎ」などと表記されることもあります。
直したい器の雰囲気やご予算の都合に合わせて、金にこだわらず選んでみるのも良い選択肢です。
というのも、金粉を選んだからといって、必ずしも思い描いたピカピカの完成品になるとは限らないからです。
詳しくは次の項目で解説します。
思ったより地味?「消し粉」の正体
僕は金粉が入ったキットを購入しました。
頭の中には当然、金色に輝く綺麗なラインによって見事に修復されたお茶碗をイメージしていました。
ところが、すべての工程を終えて完成したお茶碗は……「思っていたより地味」だったのです。
僕の技術不足という理由も大いにあるのですが、調べてみるともう一つ大きな技術的理由がありました。
それは、キットに入っていた金粉が「金消粉(きんけしふん)」だったからです。
実は、金継ぎに使われる金粉には主に次のような種類があります。
- 金消粉(きんけしふん)
- 金丸粉(きんまるふん)
- 金平極粉(きんぺきこふん)
「え、金粉にもそんな種類があったの!?」と驚きました。
この中で「金消粉」を使う金継ぎは、最後に光沢を出すための「磨き」を行わずに完成とします。
金箔をそのまま極小の粉末状にして作られる金消粉は、粒子が非常に細かいため、磨く余地(厚み)がありません。
一方、地金(金の塊)から作られる「金丸粉」や「金平極粉」は、最終工程として「研ぎ磨く」作業が存在し、この磨きを経て誰もがイメージする眩しい黄金の輝きが作られるのです。
初心者の僕の技術不足に加え、下地にした弁柄漆(べんがらうるし)が濃かったことも影響し、僕の初めての金継ぎは「なんとな〜く輝いているようにも見える、落ち着いた銅色」の出来上がりになったのでした。

ちなみに金消粉は一番安価な金粉であり、他の2種類になると格段に高価になります。
金丸粉や金平極粉を使うキットは、金消粉のキットと比べて倍近いお値段がすることもざらです。そうした理由から、初心者用の金継ぎセットには金消粉が採用されていることが多いようです。
【注意】金消粉を磨いてはいけない!
出来上がりが地味だなと思っていた僕は、金粉の種類について知る前に、独自に金継ぎの工程を調べて「最後に磨く作業がある」ということだけを知ってしまいました。
実は今回、お茶碗と一緒にちょっとした欠けがあったコップも修理していたため、「よし、コップの方で磨きを試してみよう!」と実験してみたのです。
人差し指にサラダ油と砥の粉(とのこ)をつけ、摩擦熱で指が熱くなるくらいに継いだ箇所を力いっぱい磨いてみました。
結果——僕の人差し指は真っ黒になり、水ぶくれができました。そしてコップの金継ぎは……ちょっと剥げました😭

金が擦り減って落ち、下地の弁柄漆の色が剥き出しになってしまったのです。

事態のヤバさに作業を即ストップし、磨くのを諦めました。
その後、さらに詳しく調べて初めて「金粉自体に種類があり、消し粉は磨いてはいけない」という事実を知ったのでした。
皆さんは僕と同じ過ちを犯し、金消粉の金継ぎを磨いて削り落としてしまわないよう、くれぐれもご注意ください!
さいごに
手早く綺麗な仕上がりで修復することだけを考えるなら、もしかすると簡易金継ぎの方が良かったのかもしれません。
伝統の金継ぎで直したお茶碗は、少し不格好で地味な仕上がりになりました。ですが、時間をかけて難しい工程を乗り越えたからこそ、使うために直したはずなのに「使うのがもったいない」とすら思えるほど愛着が湧きました(まぁ、毎日使っていますけどね!)。

伝統の金継ぎは、元の道具に一層の愛着を生んでくれる素晴らしい体験でした。出来上がりに対する後悔は一切ありません。
10年以上連れ添ってきたお茶碗ですので、ここからさらに5年、10年と大切に愛用し続けたいと思います。
この記事が、これから金継ぎにチャレンジしようとしている方の参考になれば幸いです。
以上、ゆたかみわーくでした!

健康を意識する在宅勤務ブロガー。仕事で鬱になりかけて心身を健やかに保つために運動や睡眠が大切だと悟る。大きい犬が好き。

